タクシーをひろう時に思い出す2人目の出産のこと

私は車の運転をしないので急な用事の際は年に何度かタクシーを利用することがあります。

2人目の出産の時もそうでした。

陣痛がきて病院に電話をすると「今から来てください」と言われ、上の子を連れて外に出てタクシーをひろおうとしました。

タクシー会社に電話をして待つよりも大きい通りに出てしまった方がつかまりやすいと考えたんです。

主人は仕事中だったので車に乗せてもらうこともできません。

こうなることはある程度予想できていたので、タクシー代ともしもの時の荷物は準備してありました。

外に出ていつもタクシーがよく通る場所に立って待ってみました。

しかし、なぜかその日に限ってタクシーがぜんぜん通らないんです。

「焦っちゃダメ!」そう心の中で自分に言い聞かせましたが陣痛がくる度に不安になってしまいます。

「こんなところで生まれたらどうしよう…」という思いと「上の子にも立ち会ってもらいながら思い出深い出産にしなきゃ!」という願いがありました。

そのため、焦るなと言い聞かせてもドキドキが止まりませんでした。

上の子を握る手も強くなり、連れ回しながらちょこちょこと移動してタクシーを探し、やっと止まってくれたんです。

その時タクシーを止めた私の手は震えていたと思います。

運転手さんは大きなおなかの私が荷物を持って子供を連れていることに出産が近いと察したのかちょっと険しい表情をしていました。

だからといって遠慮するわけにもいかないので「陣痛がきているのでなるべく急いでください」とお願いをし、とりあえずタクシーに乗れたことにほっとしながら病院に向かったものです。

運転手さんは終始無口でした。

きっと緊張されていたんでしょう。

あれから数年経ちますが、あの時ほどタクシーに乗りたい!助けて!と強く思ったことはいまだありません。

だからこそ今でもタクシーをひろう時にその時の記憶が蘇って懐かしい気持ちになります。

家の近くの大きな通りに立って手をあげてタクシーをとめる瞬間、あの時の不安や焦りとついに出産を迎えるという高揚感がみるみるこみ上げてきます。

出産そのものの苦しさはある程度忘れてしまったというのにこの記憶は消えないのが不思議です。

もうひとつ不思議なこともあります。

それは、あの時あれほどタクシーがつかまらなかったというのにそれ以降はすんなり乗れているということです。

タクシーがすぐ見つかってすぐ止まってくれる時にいつも笑い出してしまいそうになります。